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展示会見学レポート


展示会再開! ビッグサイト展示会見学レポート

2020.09.16

出展者が気になる3つの視点

東京ではwithコロナ初の展示会となる、「ライフスタイルWeeK夏2020」と「Japan マーケティング Week」が東京ビッグサイトで開催されました。今回1・2KOMAでは西、南合わせて計11社のブース装飾を施工させて頂きました。7月下旬にインテックス大阪で開催された展示会レポートに続き、出展者が気になるwithコロナ初の大規模展示会の状況を「3つの視点」と「展示会を見学して思うこと」にまとめてみました。

1 withコロナ初の展示会はどんな状況?

率直な感想ですが、何かが劇的に大きく変化していたという状況ではありませんでした。
しかし、4つの観点を意識しながら見学していくと、コロナ前との違いが見えてきました。

■来場者について
「思ったよりも来場者がいる」と感じました。新規の感染者数が減少傾向になっているとはいえ、コロナに対する警戒や心理的不安が継続している状況です。このような状況のため、「どれくらい来場するのか?」は非常に気になるところでした。実際の来場者数ですが、主催者の速報では1日の来場者が5,000人強で、3日間では合計16,000名を超えていました。出展者様の話でも、「意外と人がいた」、「小さい小間にもひとが流れてきたので、集客できてよかった」という声をお聞きしました。

小さな小間にも人が流れてきた理由は、来場者の分散です。コロナの影響で、「出展を見合わせる」、また「出展はするけど、予算を掛けられないので、小さな小間に出展する」このような事情があり、大きなブースが少なったことが分散の1つの要因として考えられます。この点は、コロナ前との違いだと思います。

余談ですが、大きな小間に出展する企業は、大企業または、その業界で名が知られている中小企業であることが多いです。また出展料金が高額のため、来場者の目に留まりやすく、メイン動線周辺に小間割されるため、人が集まりやすくなっています。

■コロナ対策について
感染防止対策はコロナ前の展示会にはなかった光景です。しかし現在は感染防止対策がニューノーマルとして定着していますので、コロナ対策の光景には驚きはありませんでした。主催者による会場の主なコロナ対策としては、「マスク着用」、「検温」、「人数カウント端末」、「自動受付」、「会場シャッターを地面から40cm程度開放した換気」、「上限5,000名の看板」、「コロナ対策廃棄所」などが目に留まりました。

■出展ブースについて
出展を取りやめしている企業ブースが休憩スペースになっていたり、壁と床のみの施工で出展者がいない空きスペースが、点在していました。また、今回は8小間を超えるような大きなブースの小間が少なく、全体的に出展社数も少なかったと思います。そのため、通路にゆとりがあり、人酔いもなく、歩きやすさを感じました。

■ブース装飾について
大阪の展示会では、装飾をしていないパッケージブースが目立ちましたが、今回の展示会では、ブース装飾をしている企業が目立ちました。また、コロナ対策に関連する展示品やキャッチコピーなどが目に留まりました。他には「リモート」、「マスク」、「エコ」、「SDGS」など社会情勢が展示会にも反映していたことが印象に残ります。

2 ブース内ではどんな感染防止対策をしているのか?

ブース内での感染防止対策は、「マスク」、「アルコール消毒」、「アクリルスタンドによる仕切り」が目に留まりました。他にも、「カーペットにソーシャルディスタンスサイン」、「手袋をつけてノベルティを配布」している方もいました。

ただ、7月のインテックス大阪の展示会時よりも全体的にマスク着用を除いた感染防止対策しているブースは少なったです。

お客様の話では、「フェイスシールド」や「アクリルスタンド」を準備していたそうですが、会期初日、周りの状況に合わせて外したとお聞きしました。フェイスシールドは声がこもり、アクリルスタンドは光の加減で反射し、相手の顔が見えにくいところがありますので、接客しにくいというのが、本音だと思います。

3 ブース内でのコミュニケーションに変化はあるのか?

見込客がブースに立ち寄り、展示品に触れ、気になれば出展者に近づき質問し、説明に耳を傾ける。コロナ前と変わらずのコミュニケーションでした。人で賑わうブースも多く、ソーシャルディスタンスはほぼ、見かけません。ただ、ブースからはみ出し、通路で売り込みをしてくる出展者は減っていました。出展者様のお話では、通路側に出て、来場者に呼び掛けをすると事務局から注意が入るそうです。

コミュニケーションに変化といえば、オンライン商談です。

コロナ前にはなかったオンライン商談は、感染防止対策のコミュニケーションツールとして、事務局が提供しています。会場に行かなくても、オンラインを通じて商談が出来ることが特徴です。

オンライン商談は3つの使い方があります。
① 現場にいる出展者と、会場に来れない見込客がオンラインで商談
② 現場にいない出展者と、会場に来られた見込客がオンラインで商談
③ 現場にいない出展者と、会場に来られない見込客がオンラインで商談

本来は便利なツールだと思いますが、これらを上手に活用できているブースは少なかったと思います。その主な理由は3つあります。

■①ネットに繋がりにくい
事務局ではネット回線を有料で提供しています。確実につながるので、便利ですが、出展者様の話では、「高い」ので、自社でWi-Fi端末を持ち込みするとお聞きします。しかし大規模展示会は多くの企業が出展しますので、回線が込み合い、Wi-Fi端末ではネットに繋がりにくくなります。繋がりにくさは、5Gの浸透と共に、改善されていくと思いますが、ネット環境が必須の場合は、多少高額だとしても、確実に繋がる事務局のネット回線をおすすめします。

■② 来場者が来ない
オンライン商談②の使い方に対して言えることですが、ブースに出展者がいなければ、人は集まりません。1・2KOMAのサイトや小冊子でも言い続けていることですが、集客の原理原則は「人が人を呼ぶ」です。来場する見込客は、リアルのコミュニケーションを求め、わざわざ時間を割いて会場に来ます。そのためそれが出来ないブースには興味を示しません。AIDMAの法則でいえば、Attention(注意)はあっても、Interest(興味)がない。だから、次の行動に態度が変容していきません。

■③ オンライン商談の認知度が低い
withコロナ初の導入のため現状では認知度が低いと思います。また没入感(ユーザー体験を向上させる要素)が低い点や、アクセス方法や操作方法などに関するUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上が改善されるとユーザー数が増えていくと思います。

 展示会を見学して感じたこと

やっと、東京ビッグサイトで大規模展示会が開催されました。

新型コロナウイルスの影響で、展示会が次々に延期や中止となり、日々の感染者数の増減に一喜一憂し、いつになったら、開催できるのだろうか?と、絶望と不安をセットで抱える数ヶ月でした。

先日、「新型コロナウイルス関連倒産、全国で500件に到達」と報道がありました。私たちの展示会業界も大規模装飾会社の売上不振、小規模事業者の廃業、展示会事業部撤退、地方から東京に進出している業者の東京事務所閉鎖など、大きなダメージを受けています。また、コロナの影響で、多くの業界団体はオンライン展示会の開催を発表しています。このような状況の中、今回リアルの展示会を開催して頂いた、主催者様には、深く感謝申し上げます。

■バイヤー目線で見学
今回、私は、出展者様のご挨拶に合わせ、1・2KOMAのノベルティ製作のために出展社を探していました。どこの企業が、私が抱える問題を解決してくれるのか?バイヤーとして、多くの出展ブースを回りながら気になる企業に、見積を依頼し、話を進めています。バイヤー目線でブースを回り、自分が感じたことを出展者様にお伝えします。

■顧客(来場する見込客)は何を買う?
見込客はコロナ禍でも、なぜ会場に来て見学するのでしょうか?それは、自社の業績拡大のための商材探しや、情報収集のためです。そして、会場全体の雰囲気、人で賑わうブース、展示品やサービスに触れ、出展者と言葉を交わし五感から得られるリアルな体験を通じて、出展社や展示品の良さを認識しています。

モノ余りで比較の時代では、商品を買うのではなく、「コト」を買う、つまり商品から得られる「体験を買う」時代です。展示会でも同様のことが言えます。天井看板にデカデカとキャッチコピーをうたい、サービスや展示品を置いて、それらの説明パネルを壁面に貼る。よくあるブースですが、これだけでは集客は出来ません。

■顧客(見込客の来場者)心理の再認識
今回の展示会では、SAAS企業を代表するIT大手2社が横並びで出展していました。2社が提供するサービスは異なりますが、共に小間サイズは同じで、見栄えのいいブース装飾で会場では目立っていました。

しかし、ブース内での集客を目的としたコミュニケーションのあり方は異なりました。1社はリモート戦術で、もう1社はブース内での人海戦術です。どちらが集客出来ていたのか?悩むまでもなく、後者です。つまり、出展者がいなければ、集客は難しいということです。

なぜ、リモートでは、集客できないのか?それは、展示会に来場する見込客は、現実体験を求めているからです。リモートでもオンラインを通じて体験はできますが、画面越しのため、現実体験ではありません。来場者は、会場で人、モノ、空間一式を五感で認識しながら、ブースにいる出展者から説明を受けたいのです。だから、withコロナでも、展示会場に来るんだと思います。

集客の原理原則は、「人が人を呼ぶ」です。人がいるから、ブースに立ち寄りその繰り返しで、集客に繋がります。そのため、リモートでのコミュニケーションツールをブース内で構築していたとしても、顧客心理とズレた戦略や戦術では、目的は果たせません。出展者がいないブースについては、感染防止対策の一環なのは十分理解出来ます。しかし誰のためのリモートツールなのか?は今一度、再認識が必要です。

■一番伝えたいこと
どうすれば、集客できるのか?答えは、ブース内で現実体験を設計(デザイン)するです。体験は、記憶に残りやすく、拡散されます。都内のスーパーでイチゴを買っても、誰かに伝えようとは思いません。しかし、もしそのスーパーに3日間限定で福岡県のあまおうのいちご狩りコーナーが出店していたらどうでしょうか?私なら、いちご狩りを体験します。そして、そこで得られた体験をミーティングでプランナーに伝えると思います。

この話は、展示会でも同じことがいえると思います。展示品を見ても、何も感じませんが、そこに来場者を巻き込める現実体験があれば、人は集まります。withコロナの展示会でも、ブースを装飾するだけではなく、来場者心理を逆算し、自分たちの思い描いた態度変容を設計(デザイン)していくマーケティング思考が重要になります。

出展者様の展示会出展の目的は、新規顧客の獲得だと思います。私たち1・2KOMAの目的(ミッション)も、新規顧客獲得のためのブース装飾です。私たちにできることは限られますが、本質が何かを見抜き、常に目的を達成するためにブース装飾を通じて、お客様に貢献していきます。


株式会社東京展飾
代表取締役 今津 紀貴