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集客の『仕掛け』を考える 【前編】

2022.08.01

展示会には数多くの企業が出展します。来場者にとっては一度に多くの企業を比較・検討できる機会として、また出展者にとっては、短期間で様々な新規顧客候補となるお客様と出会える、というメリットがあるのはご存知の通りです。しかし一方で、出展者としては「これだけブースが立ち並ぶ中で、自社スペースに立ち寄ってもらえるだろうか」といった不安もつきもの。
 
勿論、商材や出展目的によって、集客方法は様々あり「これが正解」というものはありませんが、今回は「仕掛学」の観点から、その方法を探るヒントについて考えてみたいと思います。

 
さて、皆様は「仕掛学」というものをご存知でしょうか。簡単に言うと「『つい、したくなる』という心理を使って、人を動かすアイデア」を考える学問のことです。言うなれば、『北風と太陽』に出てくる『太陽』のような方法で、人の行動を変えられないか?という試みで、大阪大学の松村教授が提唱しています。

具体的に言うと、例えばゴミ箱の上にバスケットゴールを設置することで、遊び感覚でごみ捨てを促進したり、ファイル等の背表紙に斜めのラインを引くことで、「揃っていないと気持ち悪いな」という心理から整理整頓を誘発したり、といったものが挙げられます。
 
そんなふうに、展示会ブースにも「つい、立ち寄ってしまう」ような『仕掛け』が作れれば、理想的ですよね。手はじめに、ざっくりとですが『仕掛学 人を動かすアイデアのつくり方』より、「仕掛学」とはどんなものか?を、展示会の観点から掻い摘んで紹介したいと思います。
 
まず、仕掛けの定義について、以下の3点が挙げられています。
 
①公平性:誰も不利益を被らない
②誘引性:行動が誘われる
③目的の二重性:仕掛ける側と仕掛けられる側の目的がことなる
 
注目したいのは③です。展示会では、来場者には「売込みされたくない」という気持ちが少なからずありますので、出展者側の目的(展示品を見てほしい、興味を持って欲しい)とは別の視点から、来場者に興味を持ってもらう必要があります。この点は意識しておきたいところです。
 
そして、仕掛けは「行動の選択肢を増やすもの」であり、「増やした選択肢を『魅力的』に見せることで、それが選ばれるよう仕向けるもの」としています。つい、仕掛ける側の目的が先行してしまうと、売込みのように「逃げるor話を聞く」の二択まで選択肢を狭めることになってしまうので、こちらも気を付けたいところです。
 
また、『仕掛け』を構成する要素は大きく「物理的トリガ(きっかけ)」と「心理的トリガ(きっかけ)」の2つあり、物理的トリガが心理的トリガを引き起こすことで、人の行動が変わる、としています。シンプルに言えば、目や耳、鼻に入った情報から、来場者が何かを感じることで、行動が変わる、ということです。(本当は以下の通り、もっと細かく様々に分類されいますので、ご興味のある方は本書をぜひ)

 
今回は、物理的トリガの五感(聴覚・触覚・嗅覚・味覚・視覚)の部分と、心理的トリガの「社会的文脈」の部分に意識を向けるのが良さそうかと思います。展示会でお客様の五感に訴えかけることはブース内からでも可能である、という点はもちろん、展示会という場には「業務の一環」で来場している方がほとんどで、会場内は人の往来も多く、常に人の目を意識する状況であるためです。(もちろん、一般開放されている展示会ではこの限りではありません)
 
よく言われるように「行列を見て人気店と判断する」=「人のいるところに人が集まる」という行動変容も、この社会的文脈の中の「社会的証明(他人の行動に影響されて生まれる規範)」に当たります。

 
まずは五感に訴えかけ、そこからどんな感情・心理を呼び起こすか?という点を考慮すれば、展示会でも効果を上げられる『仕掛け』を考えることができそうです。今回は少し小難しい話になりましたが、次回は、実際に実証実験に用いられた具体的な『仕掛け』を見ながら、もう少し詳しく考えていきたいと思います。
 
 

ブース装飾プランナー Y.K