展示会に活かせる思考法
2025.10.27私たちのブログページをお目通し頂きありがとうございます。お読みいただいている方はお分かりかと存じますが、最近のブログはかなり実用的な内容が多くなっています。読んですぐに活かせる、使える内容ばかりになっておりますので、ぜひ参考に展示会ブース、展示品、キャッチコピーなどを検討頂けますと幸いです。
ヒアリングでも、限られた時間の中でご要望をお伺いしつつ進めておりますので、かなり具体的なお話から入らせていただくことが多いです。が、折角ブログを書く機会ということで、今回は少し抽象的なお話になりますが、デザイナーの目線で見たときに「展示会に活かせる思考法」をご紹介させて頂ければと思います。

ときたまお客様から「ほかでは見たことが無いような、新しい、他とは違うブースにしたい」というご要望を頂きます。もちろん展示会では“とにかく目立つ”ことで一定の集客効果も上がりますので、そういったお声をいただいた際には、ご希望をめいっぱいくみ取らせていただきながらご提案を準備させて頂いております。
オリジナリティはすべてのブースに必要ですし、私たちの施工事例については、同じ小間位置のブースでも少しずつディティールが異なっており、全く同じブースというのはほとんどございません。
ただ、この「オリジナリティ」というのが結構厄介でして、個人的には「完全にオリジナルな誰も見たことが無いブース」を作った場合、集客は難しいのではないかと思っています。
なぜなら、毎週どこかの会場で開催される展示会において「思い付きはするものの、実現されていないアイデア」=「どこかに大きなデメリットが潜んでいる」と考えられるからです。もちろん私の乏しい経験からの話ですので、そういった突破口を持つデザイナーも存在する可能性はあるのですが、かなり厳しい条件ではあると思います。
ですので、いきなり“見たこともないブースを目指す”というよりも、出展を重ねる中で「前回は無かったけれど、あったら便利だな」というものを少しずつ取り入れてブラッシュアップしていく方法のほうが、先人の知恵を活かしつつ、オリジナリティのあるブースを仕上げる近道かと存じます。
もちろん初出展のお客様はゼロベースからのスタートですので、そういった進め方はできません。が、ご安心ください。私たちには年間800件近い事例が毎年蓄積されておりますので、その中からお客様のケースに近い事例をご案内しつつデザインを進めていきます。
ですので、たとえ初めてのお客様であっても、私たちに蓄積されているノウハウを生かしつつ、独自性のあるブースを作成していただけます。……なんだかいきなり自社の宣伝になってしまって恐縮です。

先ほどの「斬新なブースを作りたい」というご要望にも当てはまる内容になりますが、そういったご要望を頂いた場合に、お客様が求めているものは本当に「斬新なブース」そのものなのか、という問題にも度々ぶつかることがあります。
俗にいう、「顧客が求めているのはドリルではなく《穴》である」という、レビットのドリルの穴理論と同じ問題です。そういった場合は、そもそも何故その課題に至ったのか、その「事の発端」を考える必要があります。
ご要望の表層だけをとらえてデザインしてしまうと、さきほど書いたように展示会の目的である「集客」など別の部分に支障が出たり、本末転倒な結果になる可能性もあるので、普段のヒアリングはそういった部分にも気を付けてお話を伺っております。
若干話はズレますが、はじめにお伺いしたご要望通りに作成するとかなりご予算をオーバーしてしまうケースでも、その根本にある「事の発端」がわかれば、別の解決方法でかなり金額が抑えられるという場合も多々あり、私も度々そういった経験がございます。
もちろんそのあたりの問題点を整理するのは実際にお話を伺うプランナーの仕事になりますので、気負わずご相談いただければと思います。ただ、ブース装飾以外の部分でも、「こうしたいと思ったのはそもそもどういう課題があったからだったかな」ということを時たま思い返して頂くと、方向性のブレを抑えられることも多いかと思います。ぜひ試していただければ幸いです。

展示会では多くの出展者がブースを並べることになりますので、差別化をしなければ、と考える出展者様も多いかと存じます。ただ、客観的に見て自社の魅力や強みを考えるということは、なかなか難しいものがありますよね。
自社製品のいいところや特徴をとにかく打ち出す、という方針も悪くはないのですが、やはりお客様にとっての利点や利益を具体的に提示できたほうが、より魅力的に感じていただけ、集客にも繋がります。では、何か自社の強みなのか、どうやって考えるのが良いでしょうか。

ここでご紹介するのはあくまで一例ですが、例えば「自社をほかのジャンルのものに例えて考えてみる」という方法は、取り組みやすく、イメージもしやすいのではないかと思います。例えば自分の好きなもの、車メーカーやスーパーのお菓子、文房具やアイドルでもいいかもしれません。
そういったものは自分が普段外から見ている分、客観的に考えやすいですし、例えたものの特徴をもとに、そこから自社はお客様から「どう見られたいのか、そのためにどうすれば効果的なのか」といったことも考えやすいように思います。
ブース装飾はもとより、展示内容や当日の運営などの指針となる根本的な部分になりますので、ご出展をされる際には、来場者から「自社がどう見られているか」「どう見られたいか」を一度考えてみて頂くのもよいかもしれません。
今回は少し抽象的なお話が多くなってしまいましたが、少しでも何かのお役にたてましたらうれしく存じます。記事に関して疑問点や、さらに具体的なご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
今回ご紹介したような「考え方」については、佐藤オオキ著『問題解決ラボ――「あったらいいな」をかたちにする「ひらめき」の技術』で詳しく解説されています。他にも参考になる考え方やデザイナーの視点などが紹介されていますので、ご興味があればぜひ、ご一読いただければと存じます。
ブース装飾プランナーY.K






