【レポート】オルガテック東京2025
2025.09.01
2025年6月3日(火)から5日(木)まで、東京ビッグサイトにてオルガテック東京2025が開催されました。オルガテック東京は、ドイツ・ケルンで70年の実績を持つオフィス家具見本市「オルガテック」の国外展開として、ケルンメッセと日本オフィス家具協会が主催しています。今年で4回目の開催となる今回の来場者は昨年を上回る約45,000人にものぼったそうです。

コロナ禍をきっかけに多様な働き方が広がる現在、「SHIFT DESIGN」(デザインは働き方を自由にする)をテーマにしたオルガテック東京は、デザイナー、卸業者、専門店といった業界のプロフェッショナルが来場するビジネスイベントです。今回のレポートは、3つのポイントでご紹介します。
■会場の雰囲気
■ブースの特徴
■集客ブース
■会場の雰囲気
会場は南展示場1Fと4Fの2フロア構成でした。特に4Fは会場全体の照明が抑えられており、一歩足を踏み入れるとまるで美術館のような感覚に包まれます。

共有スペースにはロボットが自由に動き回り、手を振ったり話しかけたりする来場者も見受けられました。ブースを巡る合間の休憩時間にも、クリエイティブな要素に触れられる工夫が凝らされていると感じました。

ゴミ箱一つを見ても、デザインに一切の妥協がなく、空間全体がブランディングされている印象を受けました。

■ブースの特徴
今回の展示会では、他のビジネス向け展示会とは一味違う、よりクリエイティブで視覚に訴えかけるブースが次々と目に飛び込んできました。
4Fでは、会場全体の照明が暗いため、各ブースの照明が際立っていました。大型ブースがゆったりとした間隔で配置されているため、「あれは何だろう?」「その奥はどんなブースだろう?」と、立ち止まっては考え、また次へと足を進め、じっくりとブースを見て回れる設計になっていたのが印象的です。


特に目を引いたのは、「工事中」をコンセプトにしたブースです。ブース内がうっすらと見えるメッシュ状のファブリックと、鉄パイプや足場材で構成されており、「え?ここはまだ作っている途中なの?」と、コンセプト通りに思わず足を止めて見入ってしまいました。
1Fはよりビジネスライクな雰囲気でしたが、木工を多用したブースが多く見られました。例えば、壁面はロゴマークなどのシンプルなグラフィックのみで構成されたブースや、観葉植物や照明を効果的に使い、ブランドの世界観や「空間」全体へのこだわりを感じさせるブースが非常に多いと感じました。

■集客ブース
今回の展示会で多くの来場者を集めていたブースには、ある共通点がありました。例えば、小説をコンセプトに、迷路のような空間を歩くブースには、来場者の行列ができるほどの人気ぶりでした。外からは優しく鮮やかな照明が漏れるだけで、中の様子がうかがい知れないその謎めいた雰囲気が、来場者の探求心を刺激したのかもしれません。

他にも、普段の仕事で感じている本音に合うボックスに鉛筆を投票する、といった参加型のブースも集客に成功していました。
これらの共通点は、来場者が自ら動いて「体験」できる企画やコンセプトが、強い集客につながっているということです。単に情報を提供するだけでなく、来場者の好奇心や参加意欲を刺激する仕掛けが重要だと改めて感じました。

■見学を終えて
今回の展示会では、強く印象に残るインパクトのあるブースが非常に多く見られました。もちろん、大規模でこれまでに見たことのないような造作のブースは目を引きます。しかし、私が特に印象に残ったブースを振り返ると、フォントやカラー、そして見せたいものをきれいに見せることで、来場者が「ストレス」を感じない、つまり「分かりやすく」「体験しやすい」デザインのブースだったように感じ、非常に勉強になりました。
来場者が欲しい情報や体験したいことをストレスなく受け取れる、そんなデザインを今後、展示会出展を検討されている方々と一緒に考えられたらと思います。私たちは毎週展示会を見学し、それぞれの展示会の特徴やブース装飾の傾向などを意識して情報収集を行っています。
ブース装飾や集客に関して何かお困りごとがございましたら、ぜひ1・2KOMAへご相談ください。
デザイナーH.D