シーン別!壁面印刷のやりかた選び方
2024.07.01展示会へ足を運ぶと、様々なブースが目に留まるかと思います。その中でも、壁面へ大判の印刷を施してあるブースは、インパクトもあり、またブース全体としての統一感があったり、情報が目に入りやすかったりといった効果で、目を惹かれることも多いのではないでしょうか。
『自社で出展するときにも、こんな風に壁へ印刷したいけど……でも高そうだなあ』といった印象を持たれることもあるかもしれません。
実は、こういた大判の出力を施す方法について、いくつか種類があるのをご存じでしょうか。もちろん大判の出力をする場合は、決して安くはない金額が発生します。しかし、選択する出力方法によって、施工にかかる金額が大幅に前後する場合があります。
また、それぞれの方法にはメリットデメリットも存在します。なら、どんな方法があるのか、知っていたほうがブース装飾の検討もしやすいですよね。
ただ、知っておいて損はない……のは間違いないのですが、なにしろどの場合にどれが適しているのか、場合分けが膨大でもあるので、すべてを把握するのはなかなか大変です。ですので普段は、プランナーがご要望をヒアリングさせていただく中で、お客様のご予算、ご要望、イメージに適した方法をご提案させていただいております。
今回はせっかくの機会ですので、プランナーが普段ご提案している出力方法を、シーン別でいくつかご紹介させて頂きたいと思います。ぜひ参考にしていただければ幸いです。
システムブースで壁面いっぱいに出力を行う場合に選択できる出力方法です。※システムブース(と木工ブース)が何か気になるかたは、先に『システムブースと木工ブースって何?』をご参照ください。
システムブースは、アルミ製のフレームにベニヤ板をはめ込んで組み立てを行いますが、この出力は “組み立てる前の「板」へ印刷した塩ビシールを張り付けておく” という方法です。そのため、組み立てたあとはフレームによって印刷面が分割されるかたちになります。
メリット:
・壁面と印刷面が同一で、コンパクトで展示空間の邪魔をしないこと
・他の方法と比べて印刷コストが低いこと。
デメリット:
・フレームでデザインが分割されてしまうこと
・板はレンタル品のため、持ち帰り不可なこと
発泡スチロールでできた3~7mm程度の厚みのある板に、塩ビや紙製のシールに印刷したものを貼り付けて作るパネルのことで、皆様に一番なじみ深いものではないかと思います。システムブース、木工ブースどちらにも使用する場合がありますが、それぞれ使用シーンが異なります。
①システムブース×スチレンパネル
先ほどのレンタル板出力では、フレームが印刷面を分割してしまうデメリットがありましたが、大判のスチレンパネルであれば、フレームの上から設置できるため、システムブースであっても分割されない大判出力が可能になります。
ただし、スチレンパネルの元板サイズにも制限があるため、かなり大判の場合は分割作成したものをぴったりと合わせて現場で設置していくかたちになります。必要に応じて目張りなどをする場合があります。
メリット:
・印刷面がフレームで分割されない
・展示会後に持ち帰りが可能
デメリット:
・他の方法に比べて印刷コストが高い
・壁面のフレームから浮かせて設置するため、壁面から若干出っ張るかたちになる
②木工ブース×スチレンパネル
冒頭から大判出力のお話をさせていただいているのですが、木工ブースに大判出力をする場合、このあと紹介する出力経師(壁紙への印刷)が最も適しています。なので、スチレンパネルを木工ブースで使用する場合は、大判というよりもポイント使いをするようなかたちが多いです。
メリット:
・壁面と印刷面に凹凸が生まれるので、デザイン性が出る
・展示会後に持ち帰りが可能
デメリット:
・出力経師(壁紙印刷)のほうが安価なため、木工ブースでの大判出力にはあまり向かない
木工ブースの場合に用いる、印刷した壁紙を壁面へ貼って仕上げる方法です。木工ブースへ大判出力をする場合はこちらの方法が適しています。木工ブースなので継ぎ目なくデザインを出力、施工することが可能です。
ただ、出力用経師のロール横幅には規定がありますので、よく見ると縦に分割されているのがわかります。(分割部分は、紙一枚分程度の重なりがあります)
メリット:
・他の方法と比べると印刷コストが低い
・出力面積が広くても、紙の分割面は目立ちにくいため仕上がりがきれい
デメリット:
・木工ブース自体、システムよりも施工費が上がってしまう
・壁面の一部にのみ印刷をしたい場合、下地の部分と色を完全に一致させることが難しく、印刷面と下地部分の境目が判別できてしまう。
壁面などに掲出したい内容が文字(もしくはロゴやシンボルマーク等)のみの場合に使える方法です。データの輪郭でカッティングシートなどをカットし、それを壁面へ貼っていきます。
木工ブースでは、出力経師(壁紙印刷)を部分的に行うと下地との色の違いが出てしまいますが、切り文字であればその心配はありません。また、システムブースの場合も、ベニヤ板の色を生かしてキャッチコピーなどを配置することができます。
ただ、文字サイズと文字量で金額が前後するため、場合によっては同じ面積に設置する場合でも出力経師/レンタル板出力よりコストが上がる/また逆に下がる場合があります。また複雑な内容の場合は、プラスで人工がかかる場合もあります。
①システムブース×切り文字
②木工ブース×切り文字
メリット:
・下地の色を気にせずどこにでも設置できる(展示台天板も可能)
・文字数が少なければ出力経師(壁紙印刷)よりコストが下がる場合もある
デメリット:
・複雑な図形や画像などは切り文字にできないか、高額になる
・文字数やサイズ・色によっては出力経師(壁紙印刷)よりコストが上がる場合もある
厚手の布へ印刷を行い、それを壁面へ設置する方法です。他との大きな違いは、布製のため、くるくると巻いてコンパクトに収納して持ち帰ることができる点になります。大判出力の場合は、何枚かタペストリーを並べて設置し、1枚のデザインとして使用する場合もあります。
①システムブース×タペストリー
②木工ブース×タペストリー
メリット:
・コンパクトに収納して持ち帰りが可能
・設置が比較的容易(S字フックや市販の紐など)なので、自社装飾でも活用できる
デメリット:
・他の方法に比べて印刷コストが高い
・分割して大判印刷として設置は可能だが、分割面の隙間を固定するのは難しい
いかがでしたでしょうか。印刷方法には以上のほかにも様々な方法があり、それぞれ適したシーンによって使い分けられています。今回ご説明しきれなかった方法も、ご相談いただければ、ご要望に応じてプランナーよりご提案させていただきます。ぜひお気軽に、気になることや疑問などもご相談いただければと存じます。
ブース装飾プランナーY.K